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音楽、勉強・読書記録、日常の感想

音楽オタク的な視点から見た定額音楽サービス比較と問題点

 

私は、今まで幾つかの定額音楽サービスを色々と使用してきました。それらの中からオススメをピックアップして、それらのメリット・デメリット・個人的感想を書こうと思います。最後に、定額音楽サービス以外のメディアでも音楽を聴く音楽オタクとして、それらの問題点についても書きました。

 

Amazon Music

おすすめの人

普通にTaylor Swift のような有名どころが聴きたい人。「流行りもので何か聴きたい」くらいの人は、満足できると思います。

 

メリット

アマゾンプライムの特典も付いてくるので二重三重で美味しいです。

 

デメリット

ラインナップがぱっとしない。

 

個人的感想

アマゾンプライムのおまけにしては明らかに充実している。意外なところで、フライングキッズが聴けたので満足。

 

Apple Music

おすすめの人

ヘヴィーな音楽オタク

 

メリット

古今東西の音楽が集まっているので、大抵検索にかかります。有名どころから辺境民族音楽まで広範囲に渡る充実したラインナップが楽しめます。

Itunesを使用するので、自分が既に所有しているアルバムと一括管理できるのが便利で良いです。(Spotify にはそういう仕様はないので非常に管理しづらい)

 

デメリット

検索システムの仕様が最悪なので、派生して関連するミュージシャンを掘りたい人には向きません。あと、かなり重いので処理に時間がかかります。

 

個人的感想

 Itunesを使用できるから、CDの取り込みもできて便利。Apple Musicでは聴けない音楽を求め始める人は、相当ヘヴィーな音楽オタクだと思う。

検索システムがクソだから、音楽メディアと併用して使うと良い。

インディ全般が好きな人はPitchfork、コアなビートミュージックが好きな人はResident Advisor 辺りを使えば問題ないでしょう。Fact Magazine あたりもオススメです。Pitchfork 掲載くらい有名な音楽は大抵、AppleMusicにあります。

それ以上にコアな音楽を求める人は、Bandcampの公式サイトを開いて、Band Camp Daily あたりをチェックするか、レコード屋に行くと幸せになれる。

 

Spotify

おすすめの人

ライト層とヘヴィー層の間くらい人

 

メリット

ストリーミングサービスの中では、恐らく最も検索能力が高く、一般的な音楽オタクくらいであれば十分に満足できる程度の量の音楽があります。Velvet UndergroundOrnette Coleman、James Chanceくらいは余裕です。

自動で作成してくれるプレイリストも中々に精度が高く、「これに似た人が聴きたい」的な時には、適当にプレイリストをつくれば大体解決します。

 

デメリット

自動作成のプレイリストは、良くも悪くも似たものばかりを集めます。例えば、Oasis でプレイリストを作ると、BlurPulp、Rideを引っ張ってくるみたいな感じです。したがって、周辺事情を把握するには向きますが、色々な音楽を楽しみたいと思う人には広がりがなく、あまり役に立たないと思います。

また、システム上、追加できる上限が1万曲なので困る。

 

個人的感想

使いやすさ含めて、最も楽しく音楽が聴ける。音質的にも最も良い印象。台湾のヒップホップ、Basic Channnelが普通にあるのが良い。ただ、This Heatがないとか、有名どころでも意外な抜けがある。最近(?)、東京事変スガシカオ山崎まさよし、とかが追加されて邦楽が充実してきた感がある。(昔は、“癒しのオルゴールサウンド”みたいなのが出てきてキレてた)

似た音楽を探すのは得意だけど、自分の知っている範囲から離れたところにある音楽を探すのが苦手なので、Apple Music と同様、色々な音楽を聴きたいのであれば音楽メディアの使用は欠かせないと思う。

 

上におすすめの3つのストリーミングサービスについて書きましたが、共通する問題があります。それは、いずれも海外を拠点としているサービスだからでしょうか、どうしても邦楽のラインナップが十分ではないことです。邦楽にも素晴らしいものは沢山あるので、それを埋めるためのオススメのサービスについて書きます。

 

 TSUTAYAディスカス

おすすめの人

邦楽・有名海外音楽を聴きたい人

 

メリット

とにかく邦楽が充実しています。比較的有名な邦楽どころは、全てTSUTAYAディスカスで揃います。具体的に言うと、荒井由実、L'Arc-en-Ciel、Corneliusトクマルシューゴ村八分裸のラリーズ灰野敬二くらいの有名どころは揃ってます。最近流行りの日本語ヒップホップも“ヒップホップも聴く”くらいの人であれば満足できる程度には充実しています。

加えて、特筆すべきは、アニソンのラインナップの充実です。アニソンは、ストリーミングサービスではほぼ聴けないので、アニソンを集めるなら TSUTAYAディスカス一択です。

実は海外の音楽もそこそこ充実していて、Wikipedia があるくらい有名なミュージシャンは大体取り扱っている印象です。

音質的な面でも、直接CDを手に入れられるので、WAVとかApple losslessに設定してリッピングすれば、圧倒的最高音質を楽しめます。 

 

デメリット

月額2000円のサービスだと、一度に2枚しか借りられません。さらに、返却と発送までに時間がかかるので、4日に2枚くらいのペースでしか聴けません。(発送拠点が大阪と埼玉にあるらしく、その付近に住んでいる人は3日に2枚のペースで回すことも可能)

ジャケットや歌詞カードが付いておらず、CDの現物のみが届く。また、有名なCDは、返却待ちのような状態になって中々借りられないことも問題です。

 

結論

予算を考慮しないのであれば、Spotify +Apple Music + TSUTAYAディスカスの組み合わせが最強です。大体月額4000円くらいです。レコード2枚分の価格でこれだけのラインナップの音楽が聴けると思えば圧倒的な安さです。上に書いたメリット・デメリットを考慮しつつ、どれかひとつを選択するのも良いと思います。渡り歩いてみるのも面白いかもしれません。

 

ただ、当然、いくつか問題点もあります。

第一は、安く手に入ったものは、「理解できるまでしっかり聴き込もう」という気分になりづらいことも確かで、音楽を安易に消費している気分になることです。原因は、モノとしてジャケットなどが付属しておらず、所有感が薄いからかもしれません。私はレコード原理主義者ではないですが、家にある全てのCD・レコードを購入した時期、どこで購入したかなどを明確に覚えています。あまり楽しめなかった“ハズレ”も含めて、自分にとって大切なモノなのだからだと多います。ストリーミングは逆で、ほとんど覚えていないことが多いです。

 

第二は、ストリーミングサービスが機械的に処理しておすすめしてくる音楽は、あまりにも似た音楽が多く、音楽的な広がりが生まれないことです。その人が潜在的に好きになる可能性のある音楽をおすすめしてくれません。わかりやすく言うと、音楽好き同士の会話でよくある「君、これ聴くならノイズとかも聴いたら面白いと思うよ?」的なことをしてくれません。

 

第三は、音以外の情報が全く伝わってこないことです。

ある意味、絶対音楽的で良いのかもしれませんが、文化的な背景と共に音楽を楽しみたい自分のようなタイプの人にとっては、満足できない部分だと思います。「こんな顔の人が弾いてるんだ」などの一見どうでもいいかに思える情報は、音楽を楽しむ上で実は大切だと思います。ブックレットに写ったJoni mitchellNick Drake の素朴な姿からは、彼らの音楽が少しきこえてくるようです。

また、プロ意識を持ってしっかりと書かれたライナーノーツを何度も読むことは、自分の深いところでの音楽的理解を深めます。目の裏が鍛えられるといえば良いでしょうか、豊かな音楽的な繋がりや背景がきこえてくるようになります。*1

 

量と質の両方を保ちながら音楽を聴くのは中々難しいです。私自身、色々な意味で音楽的世界を広げるのであれば、定額音楽サービスだけでは明らかに不十分で、音楽メディアとレコード屋を使うことが必要だと実感しています。いつの時代にも素晴らしい音楽は等しく存在しているので、足を使いつつ上手く見つけていきたいものです。

*1:勿論、自己陶酔的なライナーノーツに辟易させられることもあります