捏造日記

電脳与太話

経過観察20211002 今週のコンテンツ

先週に引き続き今週分。本・映画・漫画・音楽の4種類。

 

岩井俊二: 『Love Letter』から『ラストレター』、そして『チィファの手紙』へ』 / 夏目深雪

岩井俊二のこれまでのキャリアを振り返る本。情感たっぷりの「批評」にはあまり興味は持てなかったが、韓国や中国などのアジアにおける岩井俊二の受容のされ方が書かれていた章はとても面白く読んだ。90年代に韓国で黒澤明北野武などの日本映画が解禁されたが、圧倒的に人気を博したのは岩井俊二の『Love Letter』であり、現在も韓国国内での日本映画観客動員数1位は不動であるという。

 

漫画

ナイチンゲール伝』 / 茨木保

非常に丁寧に調査して書かれていてとても楽しめた。一般に「白衣の天使」として認知されている彼女だが、実際に看護師として働いたのは数年であり、看護学や病院の衛生管理などの理論面で功績が大きいことを知った。

 

 

映画

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 / 岩井俊二

傑作とされているが、先日観た『Love Letter」に続いて本作も自分には合わなかった。少年期の美しさを捉えようとし過ぎるあまり、不自然に誇張された演技や演出がされていたように感じた。

 

音楽

偶然耳にしたOKAMOTO'S のヴォーカルのソロプロジェクト。感想は色々とあるが、歌詞についてのみ書くことにする。全体的に直接的な表現が多いことが自分に合わなかった。戦争反対の一言で済むのであれば、反戦映画は要らない。指先の僅かな動きなどから聴き手に無限のイメージを喚起させるのが優れた作品だと思う。作者の言いたいことは、それ以外の描写を通じて表現すべきものだと思っている。


 

今週の出会いでは、『ナイチンゲール伝』が望外に素晴らしく、近いうちに実際に本人が書いた著作にも手を伸ばしてみようと思う。