捏造日記

電脳与太話

楽曲分析 No.1「In My Room」Beach Boys

「In My Room」は1963年に発表されたアルバム『Surfer Girl』収録

Brian Wilson による流麗なメロディが特徴の楽曲

 

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コード進行は以下(耳には自信がないので間違いがあればご指摘ください)

 

原曲キーは、B major 

応用し易くするためにディグリーネームで記してあります

 

 Intro

ⅠM Ⅵm   Ⅱm  V  

 

Verse

 

IM  Ⅶ bM7  Ⅱm   IM

 

IM  Ⅶ bM7  Ⅱm   IM  IM on Ⅵ

 

Ⅱm  Ⅶ → → 

 

Bridge

 

Ⅵm → V  の繰り返し

 

※Bridge後、Verse に戻る

 

 

分析

 

Intro

定番のイチロクニーゴのアルペジオなので特に分析の必要なし

 

Verse

IM の部分では、キーの1度、2度、3度から4度、5度を用いたなだらかなメロディ

 

続いての5度から6度にかけてのメロディでは、

ⅦM7 の構成音の7度(キーの6度)をメロディにあて、構成音の似たⅡmに繋いで構成音の3度マイナー(キーの4度)に着地、IM に解決すると同時にメロディもキーの3度に落ち着く。

 

ふた回し目も基本は同じで、最後のIMのベースをⅥに変更して続くⅡmに滑らかに接続する工夫がなされている。基本的な、トニック機能を持つ別のコードのルートを拝借するカタチ。Cをキーとするなら、例えば、CM on E 、F on D など

 

Bridgeは、無難なので解説の必要なし。

 

Ⅶ bM7が効果的に使用されている楽曲の為、ミクソリディアンの雰囲気が漂う

 

ビートルズでも多用されているⅦ bM7は、明るくてダルい雰囲気を出すのに良い

 

I とⅦ bM7を繰り返すだけの楽曲もある

ただし、この場合はモードなのでコード進行とは別の捉え方

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現行の南アフリカ音楽、KwaitoからGqomまで

南アフリカで誕生の「Gqom(ゴム)」という新たなジャンルの音楽がUKで注目を集め始めているらしい。

 

知ったキッカケは、meltingbot の以下の記事。

 

 

まず、前身とされるKwaitoについて調べた。

 

いくつかコンピを発見したので、その中から幾つか。

 


Kwaitoのwikiの冒頭に書いてあることを非常にざっくりまとめると、80年代後半〜90年代頃に南アフリカヨハネスブルクで誕生したハウスミュージックの一種。所謂ハウスよりも遅いテンポ、アフリカ的な音とサンプル、低いベースライン、キャッチーなメロディ、打楽器のループなどがKwaitoの特徴。南アフリカの若い世代の中では、非常に身近な存在らしい。

 

おすすめのコンピレーションアルバム。

Kwaito: South African Hip Hop

Kwaito: South African Hip Hop

 

 

 

Kwaitoの発展に寄与したのは、ハウスミュージックとレゲエから派生したラガ。 

 

1980年にボブマーリーが南アフリカ独立祝いにジンバブエで開いたコンサートがあって、そこでレゲエが定着した

Lucky Dude ってこのオッサンがめっちゃ売れたらしい。


上にも書いたけれども、このレゲエが後にラガに派生して、結果的にKwaitoに大きな影響を与えた。*1

 

ちなみに、冒頭で紹介したKwaitoミュージシャンの他音源を聴くと、全てがKwaito 様式に沿っているのではない。四つ打ちでも何でもない所謂時代のポップスの体裁とった楽曲も普通にしていた。なので、南アフリカにおける一つの音楽様式としてKwaitoが存在していたと認識しておくのが良いだろう。

 

文化的側面では、女性ミュージシャンの成功が少なく、男性優位であることについては批判があるらしい。他にも、性的表現のための詩や踊りなどが商業主義的でつまらないという批判があった。

 

 詳しく知りたい人は、wikiを参照。日本ではマイナーなジャンルの印象を受けるが、wikiの記述の厚さを見るに、Kwaitoがいかに歴史のある文化であるかを感じさせられた。*2このブログにあることもwikiのほぼ丸写し。

Kwaito - Wikipedia, the free encyclopedia

 

まあそんなことよりも個人的には、生誕地とされるヨハネスブルクの治安のヤバさにビビる。*3

 

 

次に本題、「Gqom」について。

 

Gqom誕生は、南アフリカのダーバン(Durban)

 Gqomは、上でさらっと紹介したKwaitoに加えて、Tribal House、skeletal hip-hopに影響を受けている。Dazed参照*4

skeletal hip-hop という謎の音楽については、あまり情報がなかった

とりあえず、Youtube で検索して上に表示されたものを紹介。正しいかどうかは不明

THE SKELETAL SYSTEM - YouTube

 

とにかく、Gqomはこんな感じ


 Kwaitoと比較して非常に抑えの効いた音であることがわかる。実際、南アフリカの大衆には届いていなかった模様。しかしながら、Hyperdubを主宰するKode9がライヴでGqomを使ったことで、世界で注目を集めるに至った

 そして、その流れで若い頃からGqomを製作していたDJ Lag、Menchess、MenchessのプロデュースするRudeboyzを特集したEPがリリースされた。

上に貼ったものは、そのEPの中の一曲

 

 Kwaitoは、ハウスの様式に倣った四つ打ちに基づいて作られているという点で、ハウスの派生したサブジャンルであるという印象を拭えない。

 一方、Gqomは、前身とも言われるkwaitoと比較しても、Gqom特徴付けるUKダブ的な音の処理、脱ポップな部分は、Kwaitoの影響を全くと言っていいほど感じさせない

 

 

とにかくRudeboyz は、Gomqのことを検索すると必ず名前が挙がるのでマスト。

Rudeboyz Ep [12 inch Analog]

Rudeboyz Ep [12 inch Analog]

 
Rudeboyz EP

Rudeboyz EP

 

 

知名度に関してはまだまだなようで、今後に期待

去年はDazed、今年の一月にはFACTでGqomが紹介されていたにも関わらず、

Gqomのゴッドファーザー、キング、イノベーターを自称する DJ Lag*5Twitterのフォロワーは約2000人(2016年8月現在)

 

Dazedの記事で紹介されていたSoundcloudにあるRudeboysのMIXには、Rudeboyzが本人アカウントで「If you interested in working with us, or for bookings email」とコメントを残していたことに驚いた。

 

 Gqom流行の兆しは、当事者たちでさえも驚いている模様。

それは、ヒップホップ黎明期、「遊び」でしかなかったヒップホップが、世界中に拡散していくことを当事者が予測できなかったことに似ている

 

今後、彼らが資本を得て世界に拡大すれば、日本で観られる日もそう遠くはないかも

 

*6

 

 

 

*1:Kwaitoに限った話ではなくて、南アフリカの音楽全体に影響はあったと思う

*2:Cultural context and implications なんて項目が用意されている程度には歴史がある

*3:南アフリカにおける殺人事件の59.1%、住居侵入強盗事件の73.5%、性的犯罪の56.4%が発生している。更に南アフリカ全体での犯罪件数も多く(殺人が年間15,940件(1日当たり43.6件)、殺人未遂が15,493件(1日当たり42.4件)、武装強盗が101,463件(1日当たり277.9件)、強盗54,883件が(1日当たり150.3件)、強姦を含む性犯罪が66,196件(1日当たり181.3件)発生 いずれも2011年発表の犯罪統計

*4:http://www.dazeddigital.com/music/article/24944/1/what-the-foq-is-gqom

*5:本人のTwitterプロフィール参照

*6:Gqomをもっと詳しく知りたい人は、本記事でも参照したFACT、Dazed、meltingbotの記事を参照されたし